こころのお話

「今ここを生きる」コミュニケーション

今ここを生きる

「今ここを生きる」

「今この瞬間を大切に」

そう言われても、具体的にどうすればいいのか、よくわからない人も多いのかもしれません。

 

たとえば、目の前の仕事に集中すること。その通り、今ここを大切にしていることですね。

けれど、人間関係が絡んでくると、それが非常に難しくなってきます。。

 

先日カウンセリングセッションにいらしたクライアントさんも、

上司が「今ここを大切に」とよく言うので、仕事に集中しようとされていました。

人との関わりの中で、なぜ今ここを生きられなくなるのかを理解され、

「今ここを生きるって、こういうことなんだ!」

と腑に落ち、とても納得されました。

ストレスフル・コミュニケーション

一度も遅刻したことないのに、30分ほど遅れてしまったある日。

「なんで、遅刻したんですか?」

まぁ、当然聞かれますよね。聞かれたので、事情を話します。

 

ここからが問題。

「それって、焦ってるからじゃないですか?」

「いつも焦ってミスしますよね?あのときもそうでしたよね?」

「そのこと自分で分かってます?」

 

そしてさらに。

「もしまた遅刻したらどうするんですか?」

「遅刻して、いる人だけで対応できなかったらどうするんですか?」

「最悪、クレームとか来たらどうするんですか?」

 

ひとつの出来事から、過去や起きていない未来のことまで言ってくる。

『あのときも、こうだった』

『もしも、最悪こうなったら』

職場での不快なコミュニケーション。職場での人間関係もどんどん悪くなる。

ストレスが溜まり、イヤな感情に容赦なくおとしめられる。

 

「せめて、今のことについてだけ、話してくれたらいいのに!」

 

遅刻してしまったことは、自分が悪いけれど、他にもイヤなことはたくさんあるけれど、

もし、たったひとつお願いするとしたら、

「今ここ」に集中したいのだということに気づかれました。

 

なぜなら、

〇今ここ → 気持の切り換え → やる気 → 達成感 → いい一日!!

 

×過去や最悪の未来 → 嫌な気分を引きずる → やる気なし → 未達 → 一日台無し → 不眠

 

今ここ以外に焦点が当たると、非常にストレスが溜まります。

不眠の先には、うつ病や離職が待っています。

 

過去の出来事は、もうなかったことにはできません。

未来の最悪の出来事は、まだ実際に起こってもないことです。

これからの具体的行動の対策ではなく、怒られ、責められ、イヤな感情に振りまわされるのは、非常に大きなストレスです。

今ここを大切にし、やる気を与えるには、実は、関わる人のコミュニケーションがとても大切なのです。

こころの迷走~マインドワンダリング

誰にだって、怒られた経験はあると思います。

怒られた過去のことを思い出し、その時の感情をなぞり、あたかも今目の前で怒られているかのように落ち込む。

過去に囚われるだけではなく、未来にも意識が向き、

「明日もまた怒られたらどうしよう」と、まだ起こってないことで、あれこれ心配、ますます今の気持ちを落ち込ませてしまう。

思い出している「今この瞬間」は、実際には怒られてはいません。

それなのに、今目の前に起こっていないことに思いを馳せ、マイナスの感情から抜け出せず、
過去と未来を行ったり来たり。
「心ここにあらず」の状態をマインドワンダリングと呼びます。

わたしたち現代人は、一日約47%もの時間をこのこころの迷走に費やしていると言われています。

 

「今この瞬間」だけに意識を集中することが、いかに難しいことか。

だからこそ、今ここに集中するマインドフルネスが、とても有効だといわれているのですが、

今回は、関わり方を変えてみるというコミュニケーションの視点からのお話です。

コミュニケーションを変えてみる

マインドワンダリングは、その時の自分のマイナス感情を思い出し、なぞり、客観的かつ冷静な出来事のふりかえりができなくなってしまいます。

マインドワンダリング=考え方のクセです。

ふっと湧いてくる感情そのものを感じないようにすることは、実際には難しいですが、

感情が負のスパイラルに陥りそうになったら、そのことに「気づき」、回避することは可能なのです。

 

いつでも、どんなときでも必要なのは、あくまで適切な、出来事のふりかえり。

起きてしまった出来事を、今後どう生かすのか。

 

「どうして、そうなってしまったのか」

「今、ここから出来ることはなにか」

 

そういった客観的なふりかえり=反省思考・未来志向こそ、次の成果・成功につながるポイント。

 

このとき、使うことばを変えて関わることがとても大切です。

「なんで?」

こう聞かれると、どうしても人は責められているような気分になるものです。

それでも、なぜそうなったのかを問う必要があるときは、こころの態度をととのえてから。

良い悪いの評価・ジャッジメントをする気持ちで質問しない、

あくまで、事実や事情を確認する、穏やかに、冷静に、客観的なこころの態度で聴くことが大事です。

 

反省思考のあとは、未来志向へ。

どうしたら、くりかえさないのか?

どうしたら、もっとよくなるのか?

どうしたら、なりたい自分になれるのか?

 

「今ここから、出来ることは何なのか?」

 

なんで? → どうしたら?

WHY? → HOW?

 

これは他人だけでなく、自分との関わりにおいてとても大切なこと。

「なんで、あんなことしちゃったんだろう?」

「なんで、こんなこと言っちゃったんだろう?」

と、落ち込みとストレスに浸りきって、一日終わってしまった、なんてことのないようにするためには、

自分にも、「正しい問いを立てる」

 

「今ここから、自分にできることは何なのか?」

 

情報社会そしてAIの進んだ現代は、まさにストレス社会。

その分、マイナスの感情に振り回される出来事も増えていっています。

ストレスやマイナス思考は、こころに悪い影響を及ぼし、病気を作ります。

ストレス社会を生きるわたしたちにこそ、「今を生きる」という考え方がとても大切になってきています。

 

マインドワンダリングは、思考のくせ。

落ち込むことが悪いことではありません。ネガティブな感情も必要な感情です。

ただ、いつまでもその時のイヤな気分「感情」をいつまでも引きずらないこと。

 

そのために、他人にも自分にも使うことばを変え、コミュニケーションを変えていく。

そうすると、他人とも自分とも、関係の質がよくなっていきます。

 

今の感情を大切に生き、今の関係を大切に生き、今ここを生きることこそ、幸せですね。