お客様の声

「どうしたら、言うこときいてもらえるようになりますか?」【お悩み相談事例】

セッションに来る方のお話は本当に様々です。
でも、こういうことで悩んだりストレス溜めてる人って他にもたくさんいるだろうなぁ、
って感じるテーマも多いもの。

「もっとも個人的な問題は、もっとも普遍的な問題である」

なので、これからちょこちょこ、実際のセッションを元にメール相談風にアレンジ、
公開しちゃいます!
みなさまの、何か小さな気づきになったら嬉しいです。

今回は、部下のいるリーダー、幹部クラスの方のお悩み。疲労困憊でいらっしゃいました。
「どうしたら部下がいうこときくようになりますか?」
なんて、年齢も性別も問わず、職業も関係なく、「あるあるーーーっ!」
って思い当たる方も多いのでは?
心当たりのある方も、一緒にどうしたらいうこときいてもらえるか考えちゃったあなたも、
それでは、相談者になりきって、どうぞ!笑

1.「どうしたら、言うこときいてもらえるようになりますか?」

【ご相談】コロナ禍ですが、GW明けから仕事が再開しました。定休日がなくなり、人事異動もあって、思っていたより忙しいです。仕事の出来る部下Aさんは退職、その仕事が全部自分に回ってきたり、自分の下に新人が2人入ってきて、その教育も任されています。持病の腰も痛いし、利き手が腱鞘炎になってしまいました。
そんな中、「やっておいてね」といった簡単な仕事(在庫補充とか)がされていなかったり、何度言ってもやってくれないことにイライラ、、感情的になりそうになるけど、なんとか我慢してやり過ごせています。
「どうせやってくれないから、言ってもムダ、自分でやった方が早い」と思い、結局全部自分でやるようにしています。
それでも、なんか違うなと思い、次の日に上司に相談しようと思うけど、「やっぱりいいや」と思って、結局いつも話さないでいます。
そういえば、2年前に異動してきてから、ずっとこのことで悩んでいます。
前の部署では、みんな一度言えばやってくれたのに、ここではなんでみんなやってくれないんでしょうか?どうしたら、指示したことをちゃんとやってもらえるようになりますか?
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部下が指示したことをやってない。
それも簡単なことなのに、何度言ってもやってくれないなんて、それはイライラしますよね。
以前の部署では、みんなすぐにやってくれて、それが仕事だし当たり前の感覚になっていたら、なおさら理不尽な思いをされているのではないでしょうか。
「なんで?」という相手への不信感も抱きながらも、自分に対してもリーダー失格なのでは、と密かに自分を責めているかもしれませんね。
どうしたらいいかわからず、
「どうせやってくれないから、言ってもムダ」と、あきらめの気持になり、言いたいことを我慢してしまうのは、当然のことのように思います。
そして結局、自分で全部やってしまわれるのでしたら、本当にこころもからだも疲弊してしまいますよね。

でも、起きていることを整理してみると、なんかあんまりいいことなさそうです。

言う→やってない→言う→またやってない!
→イライラ、もやもや
→「人はどうせやってくれないから、言ってもムダ」
なので、言わずに我慢する、全部自分でやる
→イライラ、怒り、もやもや、理不尽、不信感
→不機嫌になり、しゃべらなくなる、やる気をなくす
みたいな。

なんという悪循環!!

それでも、自分は悪くないし、間違ってない。
だから、自分が変わるのではなく、相手が変わるべき。
理想は、「人がいうこときいてくれたらいいのに」と思いますよね。

2.人を動かすコミュニケーション

でも、本当に誰一人指示したことをやってくれないのでしょうか?
やってくれる人もいたり、やってくれる時もある。
気づいたら、自分から何かやることありますか?って聞いてくる人もいたりするのではないでしょうか。
新人さんだったり、誰か特定の人がいうこときいてくれないのかもしれません。
そして、関わり方をちょっと振り返ってみましょう。
もしかしたら一方的に同じことばを発しているだけなのかもしれません。

「在庫補充して」→やってない
→「在庫補充して!」→また、やってない
→「在庫補充してって言ったよね!」→またまた、やってない
みたいなー。笑

人を動かすには、コミュニケーションを変えなくてはなりません。
「伝える」と「伝わる」は違うのです。

①「それがなぜ必要なのか?」
例えば
A:「お茶買ってきて」
B:「13時に来客あるから、それまでにお茶補充しておいて」

「ちゃんと買ってこよう」と思うのは、どちらの方でしょうか?
人は、ただ「あれして、これして」という指示命令ばかりだと、スムーズに動けなかったりします。
なぜそれが必要なのか、目的をきちんと伝える。
そうすると、「そうしてもらえないと困る」ということを意図することにもなり、それを受け取った方は動く気になるものです。

② 「いつやるのか?」
とはいえ、在庫なければ困るなんて、言わなくたって想像できるでしょ、って思うかもしれませんね。
そうしたら、相手のYESをもらった後、ひとこと聞いてみましょう。

「いつやる?」

人には自分で決めたい欲求があります。
人に指示されただけだと、とりあえず「わかりました」で終わり、忘れちゃうことも多いのです。
恐ろしいのは、なんといっても、「やらされ感」が少しづつ増していくこと。
そうなると、ほんとになんにもやらなくなります!!
でも、YESのそのあと、「いつまでにできそう?」って聞かれることで、「今日中」「15時までには」とか何かしら「自分で決めた」ことが返ってきます。
人はやらされるより、主体的に動きたい。
内観的動機付けにより、自分で決めたことはやろうと行動していきます。

 

3.話を聴く

まあ、それでもやってくれない、できない人はいるかもしれません。
そしたら、放置せずに、お話を聴く=傾聴するのです。
聴くにもいい方がとっても重要で、
「なんでできないの?」は禁句です!!!
こんな簡単なこと、誰でもできて当たり前だろー!って思っていても、ダメです。笑

×「なんで?」

こちらとしては、素朴な疑問かもしれませんが、ミスした方は非があるので、言う方にそのつもりがなくても責められているように感じてしまいます。
使わないのがベストです。
じゃあ、なんていうのか、って??
わたしがよく使うのは、

〇「何かあったの?」
〇「どんな事情で?」

ただ忘れてしまいました、って言うかもしれません。笑
でも、その後も、忘れないようにするには次どうするか、というふうに、とにかく、解決と未来に焦点を当てた関わりをしていくことがとっても大切です。

4.言うのはムダじゃない!という真実

そして、実は!なんと!!
相手がしてくれようがしてくれまいが、言うのはムダじゃありません。
もしも、言うことが「ムダ」ではなく、自分にいいことあるとしたら何だと思いますか?
意味や価値があるとしたら、それはどんなことでしょう?

部下のいるリーダーは、人財育成しなくてはなりませんね。
教え育て、成長させること。
そのひとつは、できないことができるようになること。
部下を一人前に育てられる自分になるとしたら、何度も何度も出来るまで言う必要があるのかもしれません。

部下としては、何度も言ってくれる上司のことをどう思うのか。
「ありがたい」
「何度も言われないようにしよう」
と仕事をがんばるのではないかと思います。

そして、自分にとっての「言うことの最大の価値」とは!
ストレスたまらなーい!!

言わない選択は、我慢して自分を抑えてしまうこと。
上司にさえ相談せず、自分ひとりの胸の内に留めていたら、それはとても苦しいですね。
我慢せず、自分の気持ちを外側に出してあげることがとても大切です。
言いたいことは、話すことでスッキリする経験はおありだと思います。
自分の中のイライラもやもやを、話すことで「放す」、解放されることになっていきます。
吐き出したことを受け止めてもらえる、言うことちゃんと聴いてもらえる経験をすると、その人への好意や信頼も沸いてくる。
そうすると、だんだん自分に自信も沸いてくるものです。
なぜなら、自分の気持ちを伝えること=自分を大切にする、ということだからです。

 

5.こころの境界線とエンパワーメント

そもそも、「相手を変えることはできない」と思うとラクになります。
「どうせ言ってもやってくれない」というのは、無意識のうちに、
他人を思い通りにしよう、コントロールしようと、相手に焦点が当たっている。
そうなると、やってくれればうれしいけど、やってくれないとがっかりする。
他人の行動によって、自分の気持ちが決まることになり、それは自分を相手に預けていることになってしまっています。
外に向いた矢印を、くるりと自分に戻していく。

自分を変えていくためには、まず自分のこころに「線」を1本引いてみること。
目を閉じて、ちょっとイメージしてみてください。
それは、自分と他人の関係を分かつ境界線です。
自分は「線」の外側まで出て他人の領域にいかず、「線」の内側の自分の領域でとどまること。
頭を悩ませているのは、「いうこときいてくれる」「いったことやるのが当たり前」といつのまにか線の外側に出て、相手に期待とコントロールしている状態なのだと思います。
そもそも、「相手はコントロールできない」と意識を切り替えて、
相手の変化が当たり前と期待しなくなると相手を責めずに済んで、こころがスッと軽くなっていきます。

そして、とにかく自分を理解してくれる人の存在を力にしてください。
いうこときいてくれる部下もいるし、相談しようと思える上司もいて、他にも信頼できる仲間がいるのではないでしょうか。
疲れ切って、どうせ変わらない、とイヤになることもありますよね。
それでも、自分を受け容れてくれる人の存在を確認し、話を聴いてもらい、
その喜びや安らぎを自分のエネルギーに変えていってほしいのです。

人との距離をうまく保てるようになれば、どこにいっても通用するリーダーになりますね。
そういう意味では、自分の成長のチャンスが来ているのではないでしょうか。
まずは、自分を大切にし、人からのエネルギーをパワーに変えていきましょう。
周りの人たちもあなたを信頼し、ついてきてくれるようになってよいチームになっていくことでしょう。
どうかくじけず、くさらず、あきらめず、
みんなからパワーをもらい、自分自身を支えていってください。
疲労困憊のこころとからだの回復をこころから祈っています。

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